このままではマズイですぜ

ようやく夏休みが終わりました。

今年の夏休みは特別に厚く、外に出ることすらためらわれることも多かったのではないでしょうか。

早く生活のリズムを取り戻してほしいと思います。

さて、話題は今から一月ほど前に遡ります。

それが「全国学力・学習状況調査」。

もう覚えていない人も多いと思いますが、報道でもあったように、小・中学校ともに以前と比べて学力の低下が見られるという結果でした。

特に、

文字や文章を読み取ること

数学の問題を論理的に解くこと

自分の考えを表現すること

といった分野で、以前と比べて正答率が下がっているという結果が出ています。

このニュースを見て「やっぱりそうか…」という思いを強く持っています。

今回はこの学力低下の理由についてお話したいと思います。

学力低下の背景にある3つの理由

学力低下の原因は一つではないと思っています。色々なものが複雑に絡み合っているんですが、個人的に特に大きな要因として挙げられるのが以下の3つです。

1. 新型コロナウイルスの影響

これは言うまでもないですよね。

コロナが広まった頃は現在の中学3年生がちょうど小学5年生の頃でしたし、そして現在の小学5年生は小学校に上がる頃です。

全国的に休校措置が取られたことで、学校の授業時間が大幅に減ってしまいました。学校の先生方もオンライン授業などを頑張っていましたが、やはり対面での授業には敵わない部分も多かったはずです。

特に問題なのが、コロナ禍で授業が遅れた分を挽回するために、「とにかく先に進む」という授業スタイルが定着してしまったことです。基礎が固まっていないまま新しい単元に進んでいくと、子どもたちは「わかったつもり」になってしまいます。

また、家庭での学習習慣が身につかないまま、そのままズルズルと来てしまった子も少なくありません。

「わからない」が放置されたまま、どんどん先へ進んでいく。

これが学力低下の大きな原因の一つだと思っています。

2.スマートフォンの普及とSNS

「スマホを子どもに与えるのは早いんじゃないか」

そう思っている保護者の方、多いと思います。でも、子どもたちの間ではもうスマホは当たり前ですよね。中学生ともなると、ほとんどの子がスマホを持っています。

スマホは便利なツールですが、同時に 「集中力」を奪う最大の敵 でもあります。ゲームや動画、SNSなど、誘惑が多すぎるんです。

「ながら勉強」 という言葉がありますが、スマホを横に置いて勉強しても、集中力は続きません。すぐに通知が来て、LINEの返信をして、YouTubeを見て…気がついたら何時間も経っていた、なんてことはよくある話です。

また、 短い動画や文章ばかりに触れていると、長い文章を読み解く力が落ちてしまいます。 今回の調査でも「読解力」の低下が顕著でした。

スマホが悪いわけではありません。使い方次第です。ただ、使い方の線引きをしっかりしないと、子どもの学力だけでなく、生活習慣までボロボロになってしまいます。

かのiPhoneを創り出したスティーブ・ジョブズやマイクロソフトを立ち上げたビル・ゲイツといったIT業界のトップたちが、 自分たちの子どもにデバイスを与える時間を厳しく制限していた という話は有名ですよね。

3.大学・高校の「全入時代」

昔は大学や高校に入るのが当たり前ではありませんでした。特に高校は、受験競争が激しく、努力しないと入学できないのが普通でした。

しかし、少子化が進んだ今、 「高校や大学は、行こうと思えばどこでも入れる」 という状況になってきています。

これがいわゆる 「全入時代」 です。

これは受験生にとっては喜ばしいことのように思えますが、実は子どもたちの「学習への危機感」を薄れさせてしまうという大きな問題があります。

「どうせどこかの高校には行けるし…」

「別に勉強しなくても大学には行けるんでしょ?」

「推薦入試の内申点を稼ぐためには、レベルの低い高校が有利だ」

という雰囲気が子どもたちの間に広がり、勉強に対するモチベーションがなかなか上がらないという状況が生まれています。

特に、学力調査で低下が顕著だった 「基礎学力」 は、この「全入時代」の影響が大きいと考えています。

昔のように、基礎を徹底的に固めないと合格できないというプレッパッシャーがないため、 「とにかく最低限の点数を取ればいい」 という考えになりがちです。

家庭で学力をつけていくために必要な3つのこと

では、どうすればこの状況を改善できるのでしょうか。 今からでも遅くありません。ご家庭でできる対策はたくさんあります。

1.「わかったつもり」をなくす

特に小学生の保護者の方にお願いしたいのが、 「わからない」をそのままにしないこと です。

お子さまが「わかった!」と言っても、本当に理解できているのかどうかはなかなか判断が難しいですよね。

「この問題どうやって解くの?」と質問されたら、すぐに答えを教えるのではなく、 「どこまでわかった?」「どうしてそう思ったの?」 と、お子さまに考えさせてみてください。

そして、 「わかった」と答えても、もう一度同じような問題を解かせてみる。 これが大事です。本当に理解できているのかを確認するだけで、定着度はグンと上がります。

2.スマホの使い方を見直す

スマホは、子どもの学習を妨げる大きな要因です。

文科省の調べでも、勉強時間よりスマホの時間のほうが多いというデータもでています。

明らかに「スマホのせいで勉強しなくなった」と言えるでしょう。

もう一度スマホの使い方について見直してみてください。

例えば、 「リビングで勉強する」「勉強中はスマホを別の部屋に置く」 など、物理的に距離を置くのも効果的です。

また、 活字に触れる機会を増やす ことも大切です。親子で一緒に本を読んだり、新聞を読んだりする習慣をつけてみてください。

3.「毎日5分」の積み重ね

「よし、今日から毎日2時間勉強するぞ!」と意気込んでも、なかなか続きません。

それよりも 「毎日5分」 でいいんです。

「寝る前に漢字を5個覚える」「朝起きたら計算問題を5問解く」など 、無理のない範囲で、毎日続けられる 「小さな習慣」を始めてみてください。

そのためにお父さん、お母さんの5分を使ってあげてほしいと思います。

最初はわずかな時間ですが、この積み重ねが大きな力になります。

 

最後に、あくまでも個人的な見解ですが、教育に携わるようになり30年が経ちますが、この5年間の子どもたちの学力の低下をヒシヒシと肌で感じています。

学力低下は深刻な問題ですが、決して悲観することはありません。

でも学校だけに任せては絶対に駄目で、ご家庭の協力が必要です。

塾もできる限りのことはやっていくつもりです。今後ともよろしくお願いいたします。

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